ミリタリーカーゴパンツの原点! French Army M-47 Trousers
ミリタリーパンツといえば有名なアメリカ軍のM65フィールドパンツを思い浮かべる方が多いと思います。
M65フィールドパンツが生まれたのは名前の通り1965年。
今回紹介するM47パンツは1947年に生まれたモデル。
M65パンツよりも18年も前に作られたモデルで、世にあるカーゴパンツの原点が “M47パンツ” と言われています。
そんな元祖ミリタリーパンツM47をご紹介します。
傑作と名高い French Army M-47 Trousers
ヴィンテージミリタリーの傑作と言われるM47パンツ!
その理由は縫製、ディテール、シルエット、生地感、全てにおいて群を抜いた完成度です。
その縫製技術、完成度の高さを認めたマルタン・マルジェラが、コレクションでM47を裏返してモデルに着用させ、世界中にM47の素晴らしさをアピールし認めさせた事でも有名です。
M-47パンツ 前期モデル デッドストック
M47パンツには大きく分けて前期・後期と分類出来ますが、今回購入したものはトップボタンが比翼タイプの前期モデルのデッドストック、サイズ35になります。
年代別の詳細は後ほど紹介するとして、名作M47をご覧ください。
かなり太めなシルエットが特徴のM47パンツ
太めなのに上品で野暮ったさのない綺麗なシルエットのため、今履いても古さも感じさせず、ヴィンテージミリタリーと思わせないこなれた雰囲気があります。
前期モデルの特徴であるトップボタンが2つ 比翼仕様(表面からボタンが見えない) サイズ表記のスタンプ サイズ表記のラベル 製造年月日の記載されたスタンプ(1953年1月製) カーゴポケットの2重ボタンとフラップ裏の当て布 ヒップのフラップ裏の当て布 裾を調節するアジャスター 生地を割って縫製しポケット口はカンヌキ留め 膝はダブルニー仕様で補強
写真ではうまく伝えられない部分もありますが、素人目からみても丁寧な縫製で、あえて手間のかかるディテールで作られていることがわかります。
そして見えない裏側にもポケット裏地のパイピング、股下の当て布など物作りのこだわりが詰まっていると感じることが出来ます。
M47パンツ 前期後期見分け方
M47パンツには大きく分けて前期と後期があります。
簡単な見分け方としては
前期
フロント トップボタン2個
ツイル生地で厚い
ストレート太めシルエット
オリーブ色が強め
トップボタン2個 ツイル生地
後期
フロント トップボタン1個
ヘリンボーン織りで前期より薄い
テーパードが少しかかって前期より少し細め
緑の強めなカーキ
トップボタン1個 ヘリンボーン織り
大きく分け、かつわかりやすい特徴はこのような感じになります。
さらに詳しい年代判別・特徴
1947〜1949年頃(前期モデル 最初期)
最も古い最初期のモデルの特徴は
比翼仕立て 3つボタン メタルボタン仕様
1950年頃(前期モデル 初期)
1950年頃のモデルの特徴は
比翼仕立て 3つボタン 尿素ボタン仕様
1950〜1954年頃(前期モデル 中期の初期)
1951〜1952年頃のモデルの特徴は
比翼仕立て 2つボタン
今回購入したモデルはこの頃のモデルになります。
1953〜1954年頃(前期モデル 中期の後期)
1953〜1954年頃のモデルの特徴は
剥き出しタイプ 2つボタン
この頃から比翼ではなくトップボタンが剥き出しになります。
1954〜1960年頃(前期モデル 後期)
1954〜1960年頃のモデルの特徴は
剥き出しタイプ 1つボタン
前期はコットンツイル
後期はヘリンボーン
と分けるのが一般的なので、コットンツイルのフロント1つボタンは前期モデルとなります。
前期モデルはボタンが2つと言われていますが、1つのものもあるので注意です!
1960年頃〜(後期モデル)
1960年頃〜のモデルの特徴は
剥き出しタイプ 1つボタン ヘリンボーン生地
後期モデルは前途でも説明したとおりヘリンボーンで前期より細めになります。
後期モデルは細かく仕様が変わっているとかがないので、後期モデルとしてひと括り出来ます。
年代別詳細まとめ
年代や仕様を大きくまとめると以下のような感じになります。
サイズ表記、フラップポケットの仕様、色味の違い、スレーキの違いなど他にも様々な違いがあるみたいですが、以下のようにまとめるとわかりやすくなるかと思います。
年代 | モデル | 特徴 |
1947〜1950年頃 | 前期モデル 初期モデル | フロントトップボタンが3つ |
1950〜1954年頃 | 前期モデル 中期モデルの初期型 | フロントトップボタンが2つ 比翼仕様 |
1953〜1954年頃 | 前期モデル 中期モデルの後期型 | フロントトップボタンが2つ 剥き出し |
1954〜1960年頃 | 前期モデル 後期型 | フロントトップボタンが1つ コットンツイル |
1960年頃〜 | 後期型モデル | フロントトップボタンが1つ ヘリンボーン |
ジーンズ同様に水通しをすると縮む!
デッドストックのM47パンツは水通しをするとリジッドのジーンズ程ではないですが縮みます。
今回はなるべく縮ませたくなかったので、洗濯後に陰干しでたまに引っ張りながら乾かしたので、1〜2cm程度の縮みでした。
思いっきり縮ませたい場合は、乾燥機に入れて一気に乾かせば3〜5cmくらいは縮むと思います。
今回水通ししたサイズ変化を載せておくので参考にしてください。
平置きで計測 | 水通し前 | 水通し後 |
ウエスト | 45cm | 44cm |
ワタリ | 36cm | 36cm |
裾 | 27cm | 26cm |
股下 | 79.5cm | 77.5cm |
股上 | 35.5cm | 34.5cm |
総丈 | 115cm | 112cm |
M47パンツのサイズ選び
M47パンツのサイズ表記は数字2桁です
サイズが35の場合は
左がレングス・右がウエスト
レングスの「1」はエクストラショート、「2」はショート、「3」はレギュラーの意味。
ウエストの「1」は76cm、「2」は80cm、「3」は84cm…とこのような感じでサイズが変わります。
しかしM47は個体差がかなりあるので購入する際は実寸を見て購入するか、試着して購入してください。
一般的に現在多く出回っているサイズが35で比較的大きめです。
21.22.31など日本人に合うサイズは金額も高く、数も少ないので入手が難しくなってきています。
35など手に入りやすいサイズを乾燥機で縮めて、ウエストを絞ってロールアップして履くのも個人的にはカッコイイと思うのでおすすめです。
※補足
最近さらに人気が出て、少し前より金額も高騰してきているM47 Trousers
実物を手にし、縫製技術、生地感、シルエットなど、これが何十年も前の物とは思えない作りの良さです。
マルジェラが認めたというのも納得です。
このレベルの高い物づくりはフランスのテーラー(仕立て屋)の技術が生かされている感じがします。
個体差の多さや、スタンプの種類、様々な仕様があることから、大きな工場で大量生産していたわけではないような気がします。
個人的な憶測ですが、国が昔からある街の各テーラーに依頼し、技術の高い職人が作ったのではないでしょうか!
後期型になると量産型になった感じの作りになります。
手にいれるなら前期型をおすすめします!
キレイめにも着ることが出来るので、ミリタリー物やヴィンテージ物に抵抗がある方でも一度手にとってM47パンツの良さを実感してもらえたらと思います。
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